カントクたちがAVを撮る理由


第98回 安達かおる(後編)
「絶対に疑似は使わない」

前編はこちら→「人が目を背けるものを撮りたい」

AVを撮り続けてン十年が経った安達かおる監督。「本当のマニアが僕の作品を見たら、けしからんと怒るかもしれない」との言葉の真意とは……。

──今月スカパー!アダルトで放送される「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)にしても、排泄物の質、量が目を見張るほど。そのための食事など、独自のノウハウはあるんですか?

「面接のときに、まず本人に排泄のパターンを聞くんです。『毎日出るの?』とか。そのときにさりげなく『ビシャーッて出るの? 硬いの?』って」

──ほほう。


「ストレートに聞くと、医者の問診みたいになっちゃうからダメなんです。『あなたは1日何回トイレ行くんですか?』と医者がカルテを書くみたいに聞くと、フランクに明かしてくれない。『俺、便秘で悩んでるんだよねぇ』とか、自分の情報も出して女の子をリラックスさせながら話を引き出すのがコツです。例えば、『俺のは硬いんだ。硬いのってしんどいよね?』って聞くと『私のは軟らかいんです』って言ってくれる」

──合コンのテクニックみたいですね(笑)。いいモノを出す上で、女優さんにはどういうアドバイスを?

「それに関しての豊富な知識を持っているのが、ADにいるんですよ。『さいゆ〜き』の名前で監督もやっています」

──ポップなスカ●ロ物を撮っている、女流監督のさいゆ〜きさんですね。

「こと排泄に関してはプロですね。国家資格があったら取れるというレベル(笑)。さいゆ〜きは、撮影の2日前にこういうものを食べろとか、1日1回出るコだと、撮影の前の日は我慢して出さないようにね、とか話すんです。そうして現場に入ると、このコは出る時間はだいたい何時頃で、というのが読める」


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

──ハプニング的に出てしまう場合もあるんですか?

「読みが的中するときもあれば外れるときもあって、まだ撮影のセッティングの最中なのに便意を催して、出ちゃう、もうダメってなることはありますね。急いでカメラを回すことになりますが、質のいいウ●コはものにできます」

──現場の撤収時間になってもどうしても出ない場合は?

「そういうときは後日に再撮するんです。今月スカパー!アダルトで放送していただける『クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜』(ダイナマイトTV)もそうでした」

──たとえ撮影の予算がオーバーしても、本物にこだわって後日、同じシーンをセッティングして撮るんですね。

「V&Rプランニングはウソのウ●コは使ってねぇぞ、というのは絶対のこだわりですからね。意地でも疑似はやらないで、再撮します。見てくれる人が本物だとわかってくれるくれないというのは二の次で、そこのこだわりは譲れない」

──芸術家の発言。


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

「でも、だいたい、こだわりというものは第三者には伝わらないんですよね。パッケージに『当社の作品のウ●コはすべて本物です』と書くことも考えましたが、そうすると逆に嘘っぽいかなというのもある。『この薬は絶対に痩せます』みたいな」

──あ、そうか(笑)。そこまで本物にこだわると、対応してくれる女優さんのキャスティングはなかなか難しいんじゃないですか?

「人材の供給面では厳しい状況が続いています。人前で排泄をするよりも、セックスするほうがたぶん楽なんですよ。今のスカ●ロのレーベルを始めた8年前は、このジャンルがまだ確立されてないから知られてなくて、女の子やプロダクションに、セックスがないんで楽ですよって言ったら通用しました。だけど、今はウ●コのほうがハードルが高いって気づかれてしまって(笑)」

──それでも出てくれる女優さんがいるというのは心強いですね。

「女優さん同士のネットワークがあるんです。うちのしっかりとした現場を見てもらって一度信頼関係ができれば、知り合いの女の子を紹介してくれますから、意外と出てくれるコはそこそこいるんですよ」


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

──監督のフェチ部分も伺いたいのですが、女優さんをいざ撮影することになったとき、監督がこだわって撮る女体のパーツというのはありますか?

「お尻には昔からずっと多大な興味があります。お尻ばっかり撮ってしまうんで、ADが『あのう、このコせっかく巨乳なんで、胸もワンカット撮ってもらえますか』って」

──やっぱり、お尻に目がいっちゃうんですね。だからこそ、マニアの支持を得ているんじゃないでしょうか。

「いや、マニアにとって、僕の作品は、ある意味けしからん存在なんじゃないかと思うんですよね。ウ●コを食う人がウ●コを食うAVを撮ると、そこには、撮ってる側と出演者の『ね、おいしいでしょ?』って視点が入りますから、見ているユーザーも一体感を覚える。僕の場合は、高みから見下ろすように撮って、キミって面白いよね? なんで食うの? なんでそれで勃起するの? という問いがつねにあるんです。そこが、マニアが同調して撮っている作品と大きく違う」


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

──大作にして名作のほまれ高い『糞尿家族ロビンソン』(1990年)にしても、なんて連中なんだコイツらは? という好奇の視点のアングルですよね。

「面白い奴らだなっていうね」

──そうか。本物のマニアが見たら、僕らを半笑いでバカにしてるの? なんて思ってしまうのかもしれないですね。

「そう。『ウ●コ愛』がねえじゃねぇか! みたいな(笑)」

──(笑)マニアとドキュメンタリー作家の違いですね。

「だからどこかで客観視しているんです。同化ができない。そのものを見せたいのではなく、している状態の女性を見せたいということです」


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

──作品の編集は監督自身がやっているんですか?

「やってます。出る瞬間ていうのは、10秒〜20秒なんですよ。それをたとえば、お尻に塗るってなった場合、最初に出たものを塗るまでに15分くらいかかるんですよ、リアルタイムで。1回出して、踏ん張ってまた出すというその時間。途中でカットしちゃえばストレスなくテンポよい映像になるんですが、僕の場合は、カットしない。出てから塗るまでは疑似を使ってないよと証明したいんで、間延びしてしまう」

──あー、絶対にワンカットで見せるから。

「プロの編集マンからすると映像の完成度はどんどん下がっていく。でも、僕の哲学として、画(え)の完成度とエロは反比例するんです。プロっぽさは度外視して、見せたい部分は間延びしても見せるぞという方針で編集をしています」

──あらためて安達演出を振り返ってみて、納得しました。今日は豊かなウ●コ話に感服すら覚えました。最後に、スカ●ロ以外で撮ってみたいジャンルはありますか。

「以前やっていた面接物ですね」


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

──面接物といえば、『オーラルテスト 撮れたて裏面接 』(2003年)。素晴らしく面白かったですねこれ!

「それです、打ち合わせも台本もなく、ガチで女の子を攻めるトンチンカンな面接物。ADが、監督面接ですよと女の子を連れてくるのを隠しカメラで撮ったものですから」

──面接に来た純朴そうな娘に、「脱げ」だの「マ●コ臭いのか?」だの安達監督がハイテンションで迫りつつ、両手で抱えないと持てないサイズの巨大な小道具類(湯飲み茶碗のお茶、コップ酒、冷や奴、味噌田楽など)をADに持ってこさせてきて女の子を驚かせつつ、本音をしゃべらせるという、もう仰天尽くしの大傑作! 

「面接っていう体(てい)ですから、女の子は自分をよく見せようとするじゃないですか。そこで、女の子のそういう部分をどんどん崩していって、お前はいったい何者だ、日常はどういうリアクションするんだ、と女の子の素顔を描きたかったんです。巨大な冷や奴をADに持ってこさせて、巨大な箸で食べるように女の子に勧めたり。ああいう小道具を出して戸惑わせて、現実から離れたワケのわからない世界へ引き込んでいく。そうすると本音が出るんですよ」


「クソ野郎と少女と美しき世界〜ブッ飛んでるけど愛がある〜」(ダイナマイトTV)

──ドッキリの連続に対して、女の子がどうリアクションしてくるのかが見ものですね。女の子を口説くような雰囲気を出して、電話番号を教えろという流れに持ち込み、いざ女の子がメモ用紙に番号を書こうというところで出てくるのが巨大な鉛筆だったり。とにかく面白い名作ですが、その後はシリーズとして続いてないですよね。

「まったく売れなかったから。だって、通常1タイトル2500〜3000本くらい売れていた時代に、『オーラルテスト 〜』はたしか300本くらい。当時の営業部からは、頼むからもうやめてください、いいかげんにしてくださいって言われましたね」

──というくらい、ド肝を抜かれる異色作です! 読者の皆さんも、とにかく絶対これは見てください。ということで安達監督、ぜひまた面接物の新作も撮ってください。本日はありがとうございました!

Profile

安達かおる
1952年東京生まれ。1974年に大学卒業後、TV制作会社に勤務し、残酷映画『ジャンク』などを手がける。TV業界の古い慣行に失望して映像の世界からいったん離れるが、知人のAV制作を手伝った縁から戦列復帰。1986年に「V&Rプランニング」を設立し、世間が眉をひそめるドキュメンタリー作やマニア向け作品を次々にリリースして物議をかもす。現在はスカ●ロにフォーカスした作品群を精力的に発表している。

Profile

文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan

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