カントクたちがAVを撮る理由

第2回 カンパニー松尾(後編)
「チ●コとテロップで二度ハメる」

──1本の作品を手がけていて、達成感を感じる瞬間は?

「編集してるときですね。撮影は楽しいけど、過程でしかない。もちろんいいものを撮らないといい編集はできないけど、一番アドレナリンが出ているのは完成間近ですね。音楽を入れて、テロップも入れる。編集っていうのはもういちど構築するということなんですけど、ドキュメントなので時間を入れ替えたりはしないですけど、撮影したあとの気持ちをそこに入れられるという、卑怯なことができるわけですよね」

──後出しジャンケン的な卑怯さですか。

「そう。現場がうまくいかなかったとしても、自分の物語として成立させてしまったりとか。逆に、うまくいったとしても、自分の手柄にはしないとか。いろんなあんばいを調節できるわけですよね」

──撮影現場では好き勝手に女の子をしゃべらせているのに、編集では、たいてい松尾監督の意地悪なツッコミのテロップが入ることがあります。あのテロップが絶妙に効果的ですよね。

「基本的には女優さんがメインであり、なぜこういう仕事を始めたのか? というところにまず興味が湧くじゃないですか。AVがリスクのある商売だと承知して『アタシAVをやって楽しいんです』と発言している女の子がいれば、そこが欠落しちゃってる女の子もいる。リスクがあるにもかかわらず、カメラ目線でピースしてニコッと笑うじゃないですか。だから、そうではないよな? と思う。テロップでそこをツッコんでいます」

──現場での撮り方や接し方は、女の子を全肯定ですか?

「僕も人間なんで、合わせてしまう部分はあります。その場では肯定してあげないと話は進まないし、否定すると、女性は話さなくなる。若い頃は、そうじゃないだろ? とか否定したこともあったけど」

──「違うでしょキミ」とか。

「最近はそういうことができなくなった。ケンカしなくなりましたね」

──でも、現場は和やかに映っているのに、ツッコミのテロップひとつでひっくり返す。

「狙ってやってます。僕の監督クレジットが入る作品である以上、この女性に興味を持って見た人に、伝えなきゃいけないからです。僕を通過したらこうなるよと」

──女の子たちが脱ぐ理由、カメラの前でSEXを見せる理由って何なんでしょう?

「アルバイトでそこそこ稼げればいいとか、ほんとにSEXに興味あって、エッチがしたいんですという企画女優は別として、僕は、可愛ければ可愛い女の子ほど脱ぐ理由は複雑だと思っています。ギャラが高くて可愛いアイドル系の女の子がなぜ脱ぐのか? そのギャップの理由は深いところにあると思うんだけど、それを本人は隠さざるをえなかったりする。最近だと、素のまんまで、自分からAVに出たいという女の子もいるけど、90年代の美少女単体は、抱えているものが暗かったり重かったと思います」

──あの時代にAVデビューする女の子たちには「覚悟」の2文字がありましたよね。

「それが2000年代に入って女優の質が変わってきましたよね。AVというものに偏見がなくなって、リスクだと考えていない。AV女優こそ私がなりたかった生きる道、になる。若いコたちが、AVに出ている可愛いコを見て、こんなコになりたい! 蒼井そらみたくなりたい、とね。たとえば、希崎ジェシカは穂花に憧れてAVに出ましたからね」

──売れてる女優がそういうことを発言する時代ですね。

「AV初期の1980年代にはそういう憧れの対象になるロールモデルがいなかったわけですよね。小林ひとみに憧れてAVに出たっていう話は聞いたことないもんね」

──大学まで出て可愛いのになぜAVに!? これは男子にとって永遠の疑問です。

「僕のハメ撮り旅の始まりは、そこです」

──地方都市のテレクラで出会った素●モデルでも、AVメーカー専属の単体アイドル女優でも、そこは同じスタンス?

「そう。そこが僕のテーマのひとつだから。変わんないですね」

──初対面のときめきとか、彼女らを知りたいという欲求の深さとかも?

「変わらない。つまり、ワンパターンてことです(苦笑)」

──松尾作品ファンの女優も多いし、単体女優のメーカーがこぞって“カンパニー松尾×○○(女優名)”をリリースする時期もありました。

「ブームでしたね」

──相性のいい女優もそうでない女優もいるわけですよね。素●女性でも。「松尾さんの作品に出たかったんです!」みたいな松尾カラーをよく知ってる女性との仕事っていかがなものでしょう?

「ときたまあるけど、好まないですね。僕はSEXを撮りに来てて、自分の願望を撮っているのに、向こうがそれに添おうとするとか、理解するというのは面白くない。僕のことを何も知らず、ただのおじさんと思っての出会いのほうがいい。相手に自分のことをわかってもらおうとは1ミリも思っていなくて、僕がキミのことをわかりたい、それだけなので。あと、頑張ってカラミをやろうという気持ちもいらない。SEXは頑張ってするものではないので。なので“天然”の人のほうが撮りやすいですね」

──デビューして27年間で、カンパニー松尾はどう変わりました?

「そうですね、チ●ポのチカラは落ちました。カラミの時にチ●ポが萎えるというのは、日常的に性欲が落ちてるからなんですよね。昔はカラミのときに無条件で勃てられたのに……」

──ハメ撮りは自分の性欲に動かされて、結果的に撮るものなのに。

「そう。その性欲、チ●ポ力は下がりました。あとは同じ。童貞マインドは変わらない」

──では最後に、視聴者の主力である40~60代に向けて、ひとことお願いします。

「22歳からこの仕事を初めて、今49歳です。50歳からもう一度エロ(感度、能力)が上がると聞いたので、そうなるのが楽しみです。40代の厄年の時期は、ハメ撮りするにあたって、気持ちではできるのに体力が追いつかないギャップが大きかったけど、40代後半になると、できない自分に慣れてきてあんばいがよくなってきました。上がってきたわけではないのに、回復したように思えるんですよね。ますますそういう50代になりたいので、焦らず、AVを皆さんと一緒に長く愛せる自分になりたいです。僕はSEXよりオナニーが好きな男なので、AVをおかずにしています。皆さんもスカパー!で好きな作品を探していただいて、いつまでも楽しみましょう」

──50代でAV見てオナニーしまくっている松尾監督は、頼もしい中年だなと思うばかりです。どうもありがとうございました。

Profile

カンパニー松尾(かんぱにーまつお)
1965年愛知県生まれ。1987年、童貞でAVメーカー「V&Rプランニング」に入社。同年、22歳でAV女優を相手に作品のなかで筆下ろしを果たす。1996年V&Rを退社。2003年、自身のメーカーHMJM(ハマジム)を立ち上げる。代表作に「私を女優にして下さい」「テレクラキャノンボール」など。2014年に、劇場公開した「テレクラキャンボール2013」が大ヒット。

Profile

文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan

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