カントクたちがAVを撮る理由


第24回 溜池ゴロー(後編)
「横に座ってくれた瞬間に勃起した」

──1994年に、MAX-A専属の水沢早紀の『プリティ・デビル 痺れた果実』で監督デビューして注目されました。

「岡田有希子をモチーフにしたんです。アイドルが自殺して、色仕掛けで魔界にいっぱい人を呼ぶ話。それを綿貫プロデューサーが気に入り、人気ある女の子で誰も撮らないドラマ物をバンバン撮らせてくれるようになったんです」

──アリスJAPAN、アトラスと、ビデ倫系の単体メーカーから引っ張りだこになりました。

「でも、1998年に『オレンジ通信』(AV専門誌)で監督賞をもらった瞬間、燃え尽きたというか、もういいかなって思ったんですよ。プロデューサーが撮れというのはロリ系か巨乳ばかりで、自分としては飽きたというのもあって」

──あー、当時の売れ筋はロリか巨乳でしたね。

「その年末に、TOHJIROからデマンド(ソフト・オン・デマンド=現SODクリエイト)のマージャン大会にいこうって誘われて、そこで、高橋がなり社長を紹介されたんです」


──TOHJIROが、ビデ倫メーカーを離れてセルのデマンドで森下くるみ作品などをヒットさせてた頃ですね。

「『キミが溜池君か、ウチでぜひ撮ってくれ』っていってくださったんですけど、年を越してもなかなか返事しなかったんです。セルを撮るともうビデ倫系では撮れないという時代だったし、どうしようかって。でも、高橋さんと会って、ちゃんとお話をさせてもらったときに決心しました」

──高橋さんは溜池監督のどこに期待して抜擢したんですか?

「僕の何の作品を見ました? って聞いたら、全然見ていないと(笑)。じゃあどうして撮ってくれとおっしゃるんですか? とさらに聞いたら、『そいつの顔を見たらいいものを撮る監督かどうかわかる』って」

──慧眼ですね。

「『今までお前はTOHJIROとかに育てられてきたけど、ここから先はオレがプロデューサーとしてお前を育ててやる』って。そこまでいわれたら男として断れない。で、何を撮りたい? って話になって『熟女、単体、ドラマ物』っていったんですよ。ずっと、大人の色気がある女性が好きだったけど、ビデ倫系のメーカーに熟女物をやりたいっていっても、企画が通らなかった。そういったら高橋さんが嬉しそうな顔になって『ビデ倫で断られたというものにこそウチはカネを出す。制作費いくらほしい?』って。


「白石茉莉奈! 人妻緊縛性奴●! 人妻の熟れた体を締め付ける縄、その快感は彼女を性奴●へと堕とす…。」(レインボーチャンネルHD)

──でも、当時は熟女のプロダクションなんてないから、キャスティングが大変だったでしょう。

「『うち(デマンド)はパッケージもキャスティングも監督にやってほしい』と高橋さんがいうものですから、僕は関わったことのあるプロダクション全部に『27歳から42歳くらいまでの美人の女優さんを』とお願いしたんです。企画系の女優さんの宣材写真が4~50枚くらい集まった。その中から6人を選んで面接することになったんです」

──そこで、結婚相手ともなる川奈まり子さんと出会った。

「そうです。1人目2人目を面接して、うーん違うなーって思ってて、3人目に部屋に入ってきたのが川奈まり子。瞬間もう胸がときめいて、横に座ってくれた瞬間に勃起した。会って5秒くらいで、もう撮るって決まってました」

──ひと目惚れだったんだ。

「惚れてしまいました。面接の10日前、格闘家のヒクソン・グレイシーのドキュメント番組を見ていたら『試合前、2週間はSEXしません』って。オナニーとはいわず」

──ヒクソンがオナニーっていったらいかんよね(笑)。

「ヒクソンによれば、『2週間ザーメンを溜めたら人間の体にエネルギーが100パーセント充填する』そうなんです。あ、コレだって思って。面接までの10日間セックスもオナニーもやめよう、ザーメンを10日溜めたうえで会って、最初に勃起した女性を撮ろうと考えたんです」


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──面接ではどんなことを聞いたんですか?

「面接の最後にこう聞きました。『これから僕はあなたを撮る。あなたを見て何千人もの男がオナニーするんです。どう思いますか』って」

──お返事はなんと?

「『女冥利につきます』って。その瞬間、もう全生活なげうって、命をかけてこの女性を愛そうと思いました」

──当時、川奈さんは旦那さんとの離婚調停中だったんですね。

「そうです。『義母~まり子34歳~』が大ヒットして、つき合うようになって、彼女との作品でハメ撮りするようにもなりました。そのことを内縁の妻に知られた僕は、包丁をつきつけられたり、慰謝料400万円をあちこちから工面したりなど紆余曲折はありましたが、結婚にこぎつけたんです」

──溜池ゴローはそのあと独立しますが、2002年に立ち上がったばかりのAVメーカーであるケイ・エム・プロデュースから声がかかるんですよね。


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「デマンドからも、TOHJIROが立ち上げたドグマからも離れて独立を決意して、さあこれから営業しなきゃと思ったときに、ケイ・エム・プロデュースのプロデューサーが『エース監督がほしいんです』って声をかけてくださったんです。そこに、専属の及川奈央ちゃんがいて、ドカンと売れたんです」

──再び若い単体物に飽きたころに、ムーディーズからいよいよ「溜池ゴロー」の名で熟女レーベルをと打診があるわけですね。

「そうなんです。元デマンドの斉藤プロデューサーが声をかけてくれたんです。作品が売れたおかげでメーカーに昇格して、専属女優がほしいねって話をして、出会ったのが白石さゆり(のちの北条麻妃)で、すぐに専属になってもらいました。そして次の日に面接したのが翔田千里。そうやって、バーッて伸びたんです。僕は、要所要所の曲がり角でいいプロデューサーと女優と出会えてきたんです」

──恵まれてますよね。

「ほんとそうです。僕はAV監督の中で誰よりも女好きだと思ってるし、51歳になった今でも、大人の女性に興奮した中2のときの純粋な性欲は変わらない。だからこそ業界と相性よくここまでこれたんだと思うんですよ」

──わかります。去年、爆乳の春菜はなが溜池ゴロー専属になったじゃないですか。そのとき雑誌媒体で「25歳の春菜はななんて監督からしたらただの子供にしか映らないのでは?」と聞かれていて「ワシは永遠の中2だ。だから25歳の春菜はなも立派な熟女なのだ」って。

「熟女って年齢じゃないんですよ。たとえば僕が撮った頃の及川奈央は21歳くらいだったけど、じゅうぶん美熟女だったし、40歳を過ぎていても大人であるという自覚のない人は熟女には映らない」


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──なるほど。で、溜池ゴローのドラマ作品といえば、日常の中にこそエロが潜んでる、ということで女優に延々と雑巾で床を掃除させ、風呂の浴槽を洗わせ、洗濯物を干させる。

「不思議なのは、誰も真似しないんですよね。真似しても、長くは続かない」

──(笑)。そこまで執着してるのは溜池ゴローだけですよ。ある女優さんにインタビューしたときに、「溜池監督から床を愛撫するように雑巾がけしなさいっていわれた」って。

「(笑)。そんなこといったっけ。ポージングの演出はきっちりします、胸の谷間、尻、背中のラインをまんべんなく見せるように」

──なるほど。洗濯物を干すシーンではどう指導してるんですか。

「いいですか、日常における洗濯物は干すことが大事だけど、撮影における洗濯物は、洗濯カゴのなかを探しているときが大事なんです、と」

──ははは。

「探すポージングもAパターンからCパターンまであるんです。たとえばこう……(約15分にわたってジェスチャー混じりに解説する)」

──監督の熱いこだわりはわかりましたが、ここを撮りたい、というポイントはどこでしょう?


「主婦であったりお母さんであったりする人が現場に来るじゃないですか、その人が愛撫に感じてオンナに変化する瞬間があるんです。そこがたまらないですね。ハメ撮りしててもソコで僕はノッてくるけど、冷静になって『向こうに何千人もの観衆がいる、溜池、まだ挿入しちゃダメだぞ』って、暴走を抑えられる大人になれましたね」

──女好きを自称し、さらに、どんな女性でも抜けるっておっしゃってますよね。

「抜けます。できます。出会ったことのある女性と一度は脳内でSEXしてますからね」

──詳しく聞かせてください。

「AV見なきゃオナニーできないなんてダメですね。日常にエロスは落ちてるんです。でも相手に失礼だからじっくり見てはいけません。フォトリーディングのように一瞬にして頭の中に入れたら、家に持ち帰って頭の中のフォトショップ(画像編集ソフト)とファイナルカット・プロ(映像編集ソフト)で編集するんです。僕なんか3秒女性と会ったら絶対オナニーできますからね」

──やー、素晴らしい。日々迷いなく生きている溜池ゴロー監督らしいですね。今後の作品に期待しています。今日はたくさんお話しいただいてありがとうございました!

Profile

溜池ゴロー(ためいけごろー)
1964年生まれ。大卒後、TOHJIRO監督のAV作品やテレビ作品の制作に携わる。1994年、MAX-Aで監督デビュー。1999年に、ソフト・オン・デマンドで現夫人の川奈まり子主演『義母~まり子34歳~』を監督し、大ヒットを飛ばす。2006年、自身の名を冠したAVメーカー・溜池ゴローを設立。現在は、SODクリエイト社外取締役として後進の育成にも力を注ぐ。

Profile

文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan

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