アダルトレーベルの歴史研究

AV黎明期の80年代、芳友舎(現h.m.p)、宇宙企画、KUKI、VIPと並んで、AVメーカーの草分けとなったのがアリスJAPANだ。その歴代専属女優は、朝岡実嶺、椎名舞、美竹涼子、蒼井そら、麻美ゆま、吉沢明歩、みひろをはじめ、AV史に残るビッグネームがずらりと並ぶ。今年35周年の節目を迎えて意気上がる、老舗メーカーを訪ねた。

第10回 アリスJAPAN「歴代の中でもこのアリス娘はスゴイ」


『セクシーバイオレンス 舵川まり子 涙の復讐』(画像提供:アリスJAPAN)

第10回 アリスJAPAN「歴代の中でもこのアリス娘はスゴイ」

今年3月、アリスJAPANは35周年を記念した480分尺のBEST盤を発売した。これまでに出演した1000人をはるかに超える女優の中からレジェンドたちを厳選収録した豪華な内容は、AVファンのノスタルジーと股間を大いにかきたてたものだ。

社歴20年のベテランである辻口プロデューサーは、先輩社員から口伝えに聞いた創業期の秘話をこう語ってくれた。

「1984年5月にジャパンホームビデオ社(JHV)が設立されまして、そのグループ内メーカーとして1986年4月に立ち上げられたのが、アリスJAPANでした。美少女レーベルというコンセプトを表すため、母体の会社からとった『JAPAN』の前に『アリス』をつけたというわけです。当時、アリスというのは、かわいい女の子を連想させる、象徴的な名前でしたからね」


『夏色天使』(画像提供:アリスJAPAN)

1970年代から1980年代にかけて、自販機本の最大手だった会社も「アリス出版」を名乗っていたし、その後、『少女アリス』や『アリス・クラブ』などの雑誌も創刊されている。日本のエロシーンにおいて、「アリス」はきわめて重要なキーワードなのだ。

ネーミング的には、日本のエロの保守本流とも呼べるアリスJAPAN。そのホームページ上では、『朝吹ケイト ルンルンオナニー 秘肉の香り』(1984年5月)まで歴史をさかのぼって視聴できるが、同作にはアリスJAPANのレーベル名はまだクレジットされていない。それが登場するのは、『セクシーバイオレンス 舵川まり子 涙の復讐』(1986年6月)以降だ。

「もともとJHV社は、アダルト作品と一般作品を発売していたんですが、作品のカラーを明確にするために、アダルト向けのレーベルとしてアリスJAPANを設立したんです」


「樹まり子 レ●プ狂い5」(放送:ミッドナイト・ブルー)

当初は、竹下ゆかり、小林ひとみ、中川えり子など、人気の単体女優を起用していたが、80年代後半から90年代初頭にかけて、一定期間に特定のメーカーの作品にしか出演しない「専属女優」を誕生させ、アリスJAPANブランドの足場が固まっていく。

「アリスJAPANで新人デビューした女優の第一号は、『夏色天使』(1988年8月)の香取歩美でした。あの時代は、美少女メーカーという設立時からのレーベルコンセプトをあらためて確認して、ウチの作品づくりが変わっていった過渡期ですね」

その後、新人女優のデビューは、結城ゆかり(1988年12月)、クリス松岡(1989年11月)と間隔があく。だが、今月のミッドナイト・ブルーで放送される「樹まり子 レ●プ狂い5」(1989年12月)のように、他社で実績のある人気女優も起用しつつ、1990年に入ると新人女優のリリースが急激に増えていく。そして伝説のAV女優・朝岡実嶺(1991年6月)の爆発的ヒットでついに大輪の花が咲いたというわけだ。


『パンドラ 朝岡実嶺』(画像提供:アリスJAPAN)

こうしてAV界において盤石の地位を固めたアリスJAPANは、ほぼ毎月のように新人女優をデビューさせる積極戦略を取り、その中から何人もの大スターが生まれていった。

「デビューする女優の共通点としては、容姿が優れているのはもちろんですが、清楚である、すれていないというのが根本にあります。そして、そういう専属女優の意見を尊重しながら、大事に育てていく思いで作品づくりをしてきたのがアリスJAPANなんです。昨今では専属女優を抱えるメーカーの中には、『売れる企画で撮りたいんだ』とメーカー側の主導で製作を進めるケースもあると聞きますが、ウチはその反対のスタンスですね」

企画ありきではなく女優ありき。AVがまだ社会的に認知されていなかった古き佳き時代には、女優ファーストでなければ現場が回らなかったという事情もあるのだろう。


「もし僕が本気を出したら、彼女はどんなセックスをするのだろう?」(放送:プレイボーイ チャンネル)

「昔は、『AVやりたいです』と口では言っていても、実はまだ気持ちが揺れていてネガティブな感情を持っている女優さんは多かったですしね。僕も入社当時から、『こんなことをやってみたい』『こういう女優になりたい』という彼女たちの意思を第一に作品に反映させてきました」

そうした女優たちの意識が大きく様変わりしたのは、2000年代前半のことだという。

「昔は、将来はタレントや芸能活動をしてみたいという気持ちで活動している女優さんが多かったんですけど、2000年代前半から、AVで有名になってやろうというプロ意識を持った女の子が増えてきましたね。AV女優として一番になりたいと発言するし、この職業へのこだわりが強い。そのぶん、ユーザーが求めているものは何なのかということに、シビアな気持ちで向き合っているように感じます」

女優を手塩にかけて育てるつもりで接するメーカー側の姿勢と、女優側のプロ意識が組み合わさった結果、何が起こったか。2000年代にアリスJAPANから専属デビューした女優はとにかく息が長いのである。


『純情ハードコア 麻美ゆま』(画像提供:アリスJAPAN)

2005年にアリスJAPANとS1のW専属でデビューした麻美ゆまは、2014年までAV女優として活動したし、同社で活躍後に他メーカーへ移り、長く第一線で活躍した面々も多数いる。

例えば蒼井そら(2002年デビュー、以下同)は、2004年にS1に移籍して2011年まで作品リリースを続け、吉沢明歩(2003年)は、マキシングとS1に移籍した後も10年以上活動していた。みひろ(2005年)や佐山愛(2007年)もこの系譜であり、葵つかさ(2010年)、奥田咲(2011年)、小島みなみ(2011年)は2019年11月現在も現役を続行中だ。AVファンは、女優育成面でのアリスJAPANの貢献に、すくなからず感謝すべきだろう。

さて、これだけ人気者の名前が並ぶと、番付好みの日本人としては、歴代専属女優のランキングが気になるところだ。酷なお願いだとは知りつつも、まずはナンバーワン女優を挙げてほしいと、辻口氏に頼んでみた。


「体内の精子をすべて抜き取るSEX 麻美ゆま」(放送:フラミンゴ)

すると辻口氏は、「ランキングはつけられない」と一瞬ためらいつつも、女優としてのスキルと売り上げを含めて考えれば、麻美ゆまが印象深いと答えてくれた。とりわけ辻口氏の心に残っているのは、彼女のプロ根性だという。

「100本近く撮りましたから、体調のすぐれない日や、プライベートで嫌なことがあって気持ちが重い日もあったと思うんです。でも、そんな部分はいっさい表に出さずに、いい作品を作ろう、明るく仕事を楽しんでいる自分を見せたいという姿勢をつらぬいていました。そういう高いプロ意識は、スタッフたちにもすごく伝わるものです」

彼女の頑張りぶりは、今月フラミンゴで放送される「体内の精子をすべて抜き取るSEX 麻美ゆま」でも遺憾なく発揮されている。

「コンドームを装着したまま、射精しても外さずに、何発も射精を続けていってコンドームがザーメンでパンパンに膨らむというのが売りのシリーズの2作目です。でも、このタフな仕事ができる後続の女の子がいなくて、人気シリーズにもかかわらず、これ以降の新作を作れませんでした。さきほども言いましたけど、『このシリーズは売れているから、売り出し中のこのコにもぜひ出てもらおう』と、企画に女優をあてはめることをアリスJAPANはしないんですよ」


「女教師 輪●レ●プ 朝日奈あかり」(放送:ミッドナイト・ブルー)

ちなみに、このタフなシリーズの第1弾に起用された女優は、朝日奈あかり。彼女は、ハードプレイへの耐性では麻美ゆまの上を行く剛の者だ。

「朝日奈あかりちゃんの強さを痛感したのは、『SEX100人組手』(2012年)を撮ったときですね。連続挿入をして、次々と射精させていくというもので、これはよく売れたんですけど、じゃあ次は誰がこれができるの? というところでつまずいてしまったんですよ。結局1本で終わって、シリーズになりませんでした」

朝日奈あかりから始まり、麻美ゆまへとつながり、そしてそこで打ち止めになったシリーズは他にもある。今月のレインボーチャンネルでは、「『麻美ゆま』セッ●スしてないフリ みんなにナイショの性交とイキガマン」が放送される。挿入されているのに挿入されていないフリをするという、バラエティ番組的な内容をこなすには、高いAVスキルが必要だということだろう。朝日奈あかりと麻美ゆまの非凡さを見せつける作品と言える。


「小島みなみ☆出会って4秒で合体」(放送:ミッドナイト・ブルー)

そして麻美ゆまから始まったシリーズも見逃せない。今月のミッドナイト・ブルーでは「小島みなみ☆出会って4秒で合体」が放送されるが、この大ヒットシリーズの立ち上げプロデューサーが辻口氏。女の子が朝、撮影するスタジオにやってきたところ、いきなり全裸の男優が現れてカラミを始めることとなるドッキリを、辻口氏は麻美ゆまに仕掛けたのだ。

「男って、女の子と出会ってコミュニケーションを取った上でSEXしたい気持ちが出てくることもありますが、パッと見かけてすぐ『いい女だ、ヤリたい!』と欲求が出てくる場合も多い。そういう、出会ってものの数秒でチ●ポを挿れたくなることあるよね、という考えから始めてみたシリーズなんです。何でもこなせて対応できるゆまちゃんなら大丈夫だろうと起用を決断してドッキリを仕掛け、予想以上にうまくいきました」

人気女優の素のリアクションが面白いということで注目されて弾みがつき、シリーズとして定着したとのこと。今月は、キュートな小島みなみがとまどいつつも感じてしまう性反応をぜひ楽しんでほしい。


『彼女が3日間家族旅行で家を空けるというので、彼女の友達と3日間ハメまくった記録(仮) 川上奈々美』(画像提供:アリスJAPAN)

と、ここまではすべてかつての専属女優の話だが、いまも現役で活躍している、アリスJAPANただひとりの専属女優についても触れておきたい。

「麻美ゆまちゃんに続いて印象深い女優さんは、歴代専属女優の中でもリリース本数の記録を更新中の川上奈々美ちゃん(2012年デビュー)ですね。7年以上も出続けていると、もはや新たな発見なんてないと思われがちなんですけど、奈々美ちゃんは違う。彼女の何がすごいかって、ここ1年を見ても、同じテーマの作品なのに1年前と演技の質が違うんです。おそらくものすごい努力と研究をしているんでしょうけど、よくこんなに変わっていけるなと感心します。奈々美ちゃんみたいなデキる女の子がウチに長くいてくれて、本当に感謝あるのみです」

クリエイター側は、つねに女優の魅力を引き出そうと腐心している。その相手がデキる女優ともなれば、さらに創作意欲を刺激され、脚本を書く指やカメラを支える腕にも熱が入ろうというもの。


「レ●プ魔に襲われ間一髪で逃げ隠れたが、マ●コに塗られた媚薬が時間差で効きはじめて発情オナニーが止まらない!!川上奈々美」(放送:フラミンゴ)

かくして生まれたのが、辻口氏のオススメシリーズの筆頭である『彼女が3日間家族旅行で家を空けるというので、彼女の友達と3日間ハメまくった記録(仮) 川上奈々美』。ドラマ物の名手・朝霧浄監督による野心作だ。

「業界の方に会うたびに、この作品は見てほしいって言ってるくらいおすすめです。僕、もともとAVにはエロ以外の要素は必要ないと思ってるんです。笑いだとか情緒だとか。でも、このシリーズは青春物語の要素がすごくよくて、それが自然に濡れ場にもつながっていて興奮させられるんですよね」

辻口氏の鼻息を荒くさせた独特の映像世界は、朝霧浄監督が、定点カメラとアドリブ芝居でリアルな日常を演出した結果だ。

朝霧監督本人にもこの作品に関して話を聞いたことがあるが、「カラミが始まれば女体にカメラが寄って男優の顔を映さないという、従来のAVのパターンを壊そうと始めた」と語っていた。この実験的な手法のAVは、既存のAVのカラミ描写に飽きたユーザーから絶賛を浴び、麻里梨夏主演の第2作、枢木あおい主演の第3作も好評だ。


『先っぽ3cmまでは挿入させてくれる姉とのギリギリ相姦未満生活 星奈あい』(画像提供:アリスJAPAN)

続いての辻口氏のおすすめは、『先っぽ3cmまでは挿入させてくれる姉とのギリギリ相姦未満生活』シリーズ。

「騎乗位で奥まで挿入せず、カリの部分だけを集中的にこするというものです。そういう焦らしのプレイってエロいからもっと長く見たいと思ったのが出発点ですね。星奈あいちゃんから始まり、川上奈々美ちゃん、枢木あおいちゃん、渚みつきちゃんで続編が作られており、4作品が発売中です」


「義姉ちゃんが勝手に布団に入ってくる 中村知恵」(放送:プレイボーイ チャンネル)

そして最後のおすすめは、今月のプレイボーイ チャンネルでも放送される「義姉ちゃんが勝手に布団に入ってくる 中村知恵」。

「これは2014年に辰巳ゆいちゃんで始まった古いシリーズで、まだ4本しか出ていないせいで目立ちませんが、ダイレクトに内容が伝わるタイトルの強さもあって売れています。なのになぜ4本しか出ていないのかというと、担当のプロデューサーがそれぞれこの作品を撮った直後に辞めていく事態が偶然続き、結果として中断しがちという社内事情です(苦笑)。内容は弟目線の主観物で、彼のことが大好きなおねえちゃんが、冒頭、寒いからと言って布団に入ってくるところから始まるんです」

以上の3作に共通しているのは、ユーザーの日常と地続きにある世界という点。ユーザーが入り込みやすい状況を扱っていることが売れ行きにつながっているのでは、と辻口氏は分析している。

最後の締めとしてアリスJAPANの今後の展望について伺った。


「処女幕 第1章 奇跡のヴァージン美女が処女喪失 逢沢まりあ」(放送:スプラッシュ)

「2000年に入って、企画単体女優という言葉が生まれ、メーカーを問わず月に10本以上の作品に出演するようなスター女優が現れると、われわれ『専属女優』でやってきたメーカーの苦悩が始まったんです。いまではアリスJAPANも、企画単体女優を起用した作品のほうが多いですからね」

ながらく美少女単体女優の看板を掲げてきたh.m.pにしてもMAX-Aにしても同様である。AVの主戦場が、専属女優から企画単体女優に移行していった時代、売れるかどうかわからない新人女優と複数本契約を結ぶことに、二の足を踏んでしまうのはいたしかたない。

「かつてはアリスJAPANから派生した、新たなレーベルを展開していたこともありました。『人間廃業』『逆ソープ天国』などのシリーズは『バビロン』、素●物も含む企画物は『EROTICA』、外部からの持ち込み作品は『ディレクターズ』といった具合です。ですが、現在リリースする作品は、すべてアリスJAPANのレーベルに統一されていて、『専属女優による美少女レーベル』という初期の志にブレが生じてはいるんですよ」


「【NTR×近●相姦】夫が寝ついて5分後から起床する5分前までえげつないセックスをする義母と息子 寝取られFile.01」(放送:フラミンゴ)

とは言え、単体女優と企画単体女優の線引きは、AV業界においてはもはや昔ほど明確なものではなくなってきている。それよりもいかに女優の魅力を引き出す企画を打ち出せるかが、商売に直結する時代と言えるだろう。

「ずっと自由に面白いものを作っていきたいという気持ちは根底にあります。と同時に、ただひとりの専属女優の川上奈々美ちゃんの気持ちをざわつかせるような企画を考えなくちゃいけないと、必死でやっている部分もあります。彼女のほうは日々進化しているのですから、ありきたりの企画では、『AVはもう飽きた』って思われちゃうかもしれないじゃないですか。そう言われないよう、どんどん新しい企画を探さなければいけないと日々思っています」

Profile

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文・沢木毅彦
さわき・たけひこ 1961年生まれ。フリーライター。AV草創期よりAV専門誌にレビュー、取材記事を寄稿。月刊誌、週刊誌、WEBで細々と執筆中。香港映画と香港街歩きマニア。ビールは香港の海鮮屋台で飲むサンミゲル(生力)とブルーガール(藍妹)が最好。
twitter:@berugiisan

放送情報

「もし僕が本気を出したら、彼女はどんなセックスをするのだろう?」

11/25(月) 後3:30~
【その他放送日】-


「義姉ちゃんが勝手に布団に入ってくる 中村知恵」

11/17(日) 後10:30~
【その他放送日】24


「『麻美ゆま』セッ●スしてないフリ みんなにナイショの性交とイキガマン」

11/19(火) 後11:00~
【その他放送日】23・29


「樹まり子 レ●プ狂い5」

11/15(金) 後9:00~
【その他放送日】18・21・23・27


「小島みなみ☆出会って4秒で合体」

11/15(金) 後5:00~
【その他放送日】20・26


「小林愛美 フラッシュパラダイス」

11/15(金) 後10:00~
【その他放送日】18・21・23・27


「女教師 輪●レ●プ 朝日奈あかり」

11/13(水) 後2:00~
【その他放送日】21・26


「処女幕 第1章 奇跡のヴァージン美女が処女喪失 逢沢まりあ」

11/16(土) 深2:00~
【その他放送日】21


「体内の精子をすべて抜き取るSEX 麻美ゆま」

11/15(金) 深3:00~
【その他放送日】19・22・27


「レ●プ魔に襲われ間一髪で逃げ隠れたが、マ●コに塗られた媚薬が時間差で効きはじめて発情オナニーが止まらない!!川上奈々美」

11/18(月) 前7:00~
【その他放送日】24・28


「【NTR×近●相姦】夫が寝ついて5分後から起床する5分前までえげつないセックスをする義母と息子 寝取られFile.01」

11/15(金) 後6:00~
【その他放送日】20・23

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