ノーブラ広報ちゃん

「スカパー!アダルト」編集部で働く「ノーブラ広報」(三十路女子)が「スカパー!アダルト」の旬な情報はもちろん、アダルト業界やエロについてのゆる~い意見をふんわりと語ります。お弁当でいえば添えもののミニトマトのようなもの。軽い気持ちでつまんでいってね♪

第29回「グルメな男」

ノーブラ広報ちゃん

芸能界のグルメ王の、グルメとは言い難いインスタント不倫が話題だ。今回は、呼び出されて3分でコトを終えられるオンナの心のうち……ではなく、グルメな男の人について。

今までつき合ってきた男の人は、幸いにしてというかなんというか、食に関してはこだわりがない人ばかり。好き嫌いが多い人もいたけれど、納豆がダメとか、お寿司はネギトロと玉子があればいいとか、まあ許せる範囲だった。イクラやウニ、生ガキとか、よりによってわたしの大好物が食べられない、という人もいたけれど、食べるな、ということもなかったから、外で食べることになってもそこそこ平和だった。「生の魚は絶対にNG」なんて人だったら、お店選びも大変だろうと思う。

さて、そんなこだわりのない人たちの中で、唯一といっていいほどグルメな人がいた。美術関係の仕事をしていて、いかにも自由業的で個性的な、しかしながら品のある格好の、ちょっと年上の人。まだ若かったわたしは、彼の仕事ぶりに憧れ、豊富な知識に尊敬のまなざしを送っていた。そんな人だったから、初めて自宅に招かれたときはうれしかった。狭いけれど、ビンテージマンションをオシャレにリノベーションした部屋。見たことがないような柄の布が、カーテンのかわりに使われていたり、ちょっとした書き物をするようなデスクが、実は古い足踏みミシンだったり……。

イメージ画像
*画像はイメージです。

田舎から出てきたわたしが初めて触れる「洗練された都会の人」だった。セオリー通りに一夜をともにして、翌日、昼近くに起きてけだるく食事をとる。いい匂いがすると思ったら彼がコーヒーを淹れてくれていた。「これからパスタでも茹でようと思うけど、いい?」なんと、彼の手作りだ。

彼に借りた大き目のTシャツを着て、ぼんやりとベッドに座っていたけれど、ちょっと考えてからキッチンに向かう。何か手伝いましょうか、と申し出ると、じゃあこれを刻んで、と出てきたのは紫色の玉ねぎ。手作りのドレッシングと和えて、サラダにするのだという。

都会の人はこんなものを常備しているのか、と驚く。彼が鍋に投入しているのも、わたしが普段、電熱式コンロでシコシコ茹でているような国産品ではなく、たぶん本場イタリアの、お高いパスタだろう。「早ゆで6分!」とか、パッケージに書かれていないタイプのやつだ。フライパンには、にんにくと、なにかしらの香辛料のようなものが次々に投入されていく。

ようやく緑色をしたパスタが完成した。そのときだった。

「あ、バジルがない。ちょっと買ってくるから待ってて」

聞けばすぐ近くにスーパーがあり、10分もあれば戻ってこられるという。はい、待ってます、と答えながら、わたしは、この人とずっと一緒にいるのは無理かもしれないと思った。あってもなくてもいい(とわたしは思った)バジルを買いに、外に出ていく、そのこだわり。

いつもわたしがしているように、麻婆豆腐を丸●屋の素で作ったり、お味噌汁を、かつおぶしや昆布でとった出汁じゃなくて、顆粒出汁をパパっと振って作ったりしたら、この人は呆れてしまうのではないか。具がなにも乗っていない冷やし中華を、喜んですすっているわたしを見たらとたんに嫌いになってしまうのではないか。

普段の生活がいいかげんなだけに、彼がいつかわたしの家を訪れる日のことを思って苦しくなった。走って買ってきてくれたバジルが乗ったオシャレなパスタも、なんの味なのかはっきりしなかった。ほどなく「あんなに僕のこと、好きって言ってたのに?」と不審がられながら、彼とは距離を置くことにしてしまった。

こだわりは、ときにすれ違いを生む。知識豊富でグルメな男より、なにを食べさせても、ウマいもマズいも言わないくらいの鈍くて武骨な男のほうが、わたしには合っているのかもしれない。

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ノーブラ広報

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自称「スカパー!アダルト」編集部の夜の蝶。牛レバ刺しが復活する日を祈りながら日々働いています。誰か二日酔いが劇的に治る薬を開発してください。ツイッター @sptv_adult も見てね。

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