現在では誰もやらなくなってしまいましたが、ひと昔前のオヤジたちは全員「予告ジャスチャー」なる行動をとっておりました。
例えば、言うことを聞かないガキを張り倒すときには、ゲンコツに「ハァー」などと臭い息を吹きかけていましたし、庭に穴を掘ったり、餅をついたりするときには、手のひらに汚いツバを吐きかけてからスコップや杵を持つのが一般的でした。
実際、予告ジェスチャーは街の至る所でも簡単に目撃することができました。
どこかで火事が起こると、大して活躍もできないのに「腕まくり」をしながら駆けつけ、繁華街で不良に絡まれれば、勝てもしないのに「指をポキポキ」鳴らしながら「よーし、お前たち、お仕置きの時間だ」などと、ほざいて逆に返り討ちに遭っていたものです。
最もポピュラーな予告ジャスチャーでいえば、キャバクラなどで屁をコク前に「片ケツを上げる」などというのも有名でした。
ちょっと変わったところでいえば、オヤジがラブホテルに入ったときに見せる予告ジャスチャー。
女性がシャワーから出てくると、まるでAV男優のように白いブリーフ一枚でベッドの上で腕立て伏せをしている醜いオヤジの予告セックス姿が時折目撃されたものです。
ことほどさようにオヤジと予告ジェスチャーは切っても切れない関係にあったのです。
それがどうでしょう。令和の現在、そんなオヤジはすっかりいなくなってしまいました。
理由は簡単です。
世の中のオヤジが全員、元気と笑いを失ってしまったからです。
これは非常に由々しき事態です。
確かにオヤジの予告ジェスチャーは、女性陣から「汚い!」と揶揄されることが多いのも事実です。
会社の会議でプリントを配る時に「指を舐めてから」書類を操れば、女子社員全員から悲鳴が上がることは必至ですし、新入社員からは「それはセクハラです」などと指摘されるかもしれません。
でも、もう大丈夫です。目の前でやるのがダメならリモートワークで思い切り予告ジェスチャーを展開してやれば良いのです。
まず手始めにパソコンの前で「よーし、やるぞ」などと言いながら「頭に鉢巻き」をして、皆様のヤル気のほどを予告してやってください。
当然、キーボードを弄る前には「手のひらにツバ」です。
オヤジが元気になれば世の中も元気になるに違いありません。
夕やけ大衆編集長・原田