大人のコラム

タクシードライバーの「破廉恥」乗務日誌

タクシードライバーの「破廉恥」乗務日誌

このコーナーは「週刊大衆」ベテラン記者の柚月怜氏が、街のタクシー運転手さんたちに乗客の破廉恥な行状をお伺いしたものです。タクシー運転手さんといえば、世の中で一番「街の事情に詳しい方々」といっても過言ではありません。新聞やテレビでは決して報じられない一般人たちの「ハシタナイ素顔」に腰を抜かすことになるでしょう。なぜなら、この報告書には「真実」しかないのですから。ー「夕やけ大衆」編集長ー

CASE3「昼下がりの奥様が突然見せてきたもの」
6/11 更新

CASE3「昼下がりの奥様が突然見せてきたもの」

「普通なら嬉しいのかもしれませんけどね。私の場合、前の女房のことがあったから、正直、複雑な気持ちでもありましたね」

小山さん(仮名=61歳)は2年前に離婚している。離婚理由については「私のせいです」と前置きしてから、

「好きな男ができたみたいでねぇ。女房は私よりも7歳下でしたが、当時、齢52ですよ(笑)。まぁ、よく貰ってくれる男がいたもんだし、元女房もやっぱりイイ女だったんだと思います。とにかく悪いのは私ですよ。もうかれこれ何年もろくに名前も呼んでいなかったし、アッチもすっかり枯れておりましたから」

自嘲気味に話すが、何があっても一度惚れた女のことは悪く言わない。温厚な人柄でありながらも、芯の部分は実に男らしいことがわかる。

そんな小山さんが話してくれたのは、妻との離婚が成立したばかりの頃のことだ。

小山さんは首都圏近郊の駅前で付け待ち(タクシー乗り場で乗客を待つ方法)をしていた。駅前には百貨店があり、昼下がりの時間帯となれば、近隣の奥様方が買い物やランチを楽しみにくるとあって、タクシーを利用することも多い。

「乗車してきたのは、女優の秋吉久美子さんに似た感じの美人でね。年齢は50代半ばぐらいかな。けだるそうな雰囲気に色気があって、私も変に緊張しましたね」

秋吉さん(仮)はその冷たそうな美人といった見た目とは裏腹に、のっけから上機嫌で話しかけてきたという。

「行先は駅から結構離れた場所にある歯科医院でしたね。車で20分はかかるところです。秋吉さんはこちらが聞いてもいないのに、そこの歯科医がダンディな中年男性でカッコいいとか、口の中を見られていると恥ずかしいのにドキドキしちゃうなんて言っていましたね。左手の薬指に指輪をしていたので、人妻だと思います」

おそらく旦那には言えない秘密のトキメキを、タクシー運転手に聞いてもらいたかったのだろう。小山さんもお客様に気持ちよく乗車してもらうため、「いやあ、お客さんのような美しい方にそんなふうに思われている歯医者さんが羨ましいですよ~」と、話を合わせていたという。

「そんなふうに会話をしていたら、秋吉さんはさらに機嫌がよくなられてみたいで。もっと饒舌になられたんです。その歯医者さんは真面目そうに見えるけど絶対スケベだと思うとか、朝ドラ女優が主演する歯医者さんと人妻が病院内で不倫する濡れ場がある映画を、レンタルで何度も借りて見てしまっているとか(笑)」

白昼からタクシーの車内でエロ妄想を炸裂させる美熟女。車が歯科医院に近づくほど、彼女は落ち着きがなくなり、キャピキャピと楽しそうに下ネタをしゃべっていたそうだ。

そして、信号待ちに差し掛かった時。秋吉さんは信じられない行動を取ったのだ。

「そうだ、運転手さん。ちょっと見てもらいたいんだけど」

秋吉さんは言いながら、先ほどの駅前デパートで買った何かを紙袋から取り出そうと した。

「これなんだけど、いつか彼に抱かれるときのために買ったんですよ。でね、正直な男の人の意見として聞かせて欲しいんだけど、どっちがセクシーだと思う?」

秋吉さんが両手に掲げたのは、黒のガーターベルト付きショーツと、真っ赤で極小のビキニタイプの下着だった。

「いや、もうね。私なんか何十年も前から元女房以外の女性の下着なんか見ていなかったですからね。驚くも何も勝手に恥ずかしくなって、顔が熱くなりましたよ。どっちがセクシー? と聞かれても、どっちもドエロですし……何よりも、それなりにいい年の人妻があんな下着を昼間のデパートで買っていること自体、信じられなかったです」

小山さんは焦りに焦りつつ、「どっちも素敵だと思います」と答えたものの、

「どっちか選んでよ。運転手さんはどっちが好き? ほら、よく見て!」

秋吉さんは運転中にも関わらず、下着をぐいぐい顔の前まで突き付けてくる始末。

「お客さん、危ないですから……」

黒と赤の下着をちらつかせながら、懸命に訴える秋吉さん。

「そのうち、今度はそれらの下着を自分の体に当てて、『似合うかしら?』とばかりに、ルームミラー越しにこっちに見せつけてくるんです。とにかく男の意見を聞きたいみたいでね。私も無視するわけにいかず、『自分としてはガーターベルトが……』と、恥ずかしい性癖を告白させられるハメに(笑)。とにかく私は妻と離婚したばかりでしたからね。もしかして、前の女房もこんなふうに夫以外の男のためにセクシーな下着を購入して、年甲斐もなく、ウキウキしていたのかもしれないと想像したら、なんともいえない気持ちになりましたよ」

こう語る小山さんだが、いつもの駅前で付け待ちをしながら、あのときの彼女がまた乗車してこないかと、ちょっぴり期待しているそうだ。

取材&記事:柚月怜(ゆづきれい) 20代の頃より「週刊大衆」の記者として、街の妖しい噂やエロスポットを中心に取材。官能作家として、著書『惑わせ天使』(双葉社刊)もある。

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